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編集者の役割とは

編集者は書き手のパートナーです。
読んでもらう本をつくるために

本をつくりたいと考えている人なら、伝えたいこと、表現したいこと、残したいことがあることでしょう。そうした思いを、ひとりで原稿としてまとめ、本にすることは可能です。しかし、本気で本を読んでもらうことを考えるなら、それだけでは足りません。

なにが足りないかといえば、客観的な視点です。その視点を本に加えるのが、編集者の役割です。たとえば商業出版では必ず編集者が関わります。なぜ編集者が関わると思いますか?

決して著者から原稿を受け取って「てにをは」を直し、本の体裁を整えるためだけに編集者がいるわけではありません。「いい本って、どんな本だと思いますか?」でも触れましたが、商業出版で重要なのは、売れる本をつくるということです。

つまり、読者の興味を引き、手に取ってもらい、読んでもらうために、本の企画から内容、構成、表現、装丁等、あらゆることに気を配り、手を加えるのです。

書き手にはできないこと

これは書き手にとって、とても難しいことだろうと思います。なかには読み手のことを考えて、客観的に文章を書いているという方もいらっしゃるでしょう。しかし、それだけではやはり足りないのです。

文章を書く方ならおわかりでしょう。書くということはどんな文章であれ、自己表現です。自分の内面に迫ってはじめて、自分なりの思いや考え、表現が生まれてきます。自分自身の思いがベースになくてはなりません。それがその人の特長となり、読む人の気持ちを動かすベースになります。

しかし、そうした文章はひとりよがりにもなりがちです。だからといって客観的な視点を意識してしまうと、書くことに迷いが生じて書けなくなってしまったり、つまらない文章になってしまったりと、せっかくの特長がぶれてしまうこともあります。書き手が客観的な視点を持つことも大切なことではあるのですが、それは簡単にできるものではありません。人の書いた作品なら、いくらでも感想や書評は述べられると思いますが、自分の書いたものに同じように感想や書評を述べられるかといえば、それは無理に近いことなのです。

編集者の担う役割

だからこそ、本気で読んでもらうことを考えるなら、編集者の存在はとても重要になってきます。編集者は一人目の読者として書き手に方向を示し、世の中にフィットさせていく役割を求められているのです。

とはいえ、編集者は最初からすべてをわかっているわけではありません。ひとつとして同じ原稿はありませんから、やり方も、進め方も、考え方も、すべての本で変わってきます。一点ごとに読者のことを考えるとともに、書き手の思いやオリジナリティをどうやって引き出すかも考えなくてはなりません。

そのためには、編集者の思いだけを押し付けてもうまくはいきません。書き手と一緒になって考え、悩み、試行錯誤していかなくてはならないのです。本は書き手と編集者の共同作業ともいわれますが、そうした関係性によって、よりよい作品を仕上げられるのです。

ななし書房では編集を重視した「作家を目指す人のための私家本出版」に取り組んでいます。
http://nanasikabon.strikingly.com